「パキッ!」と首を鳴らす行為にはどんなリスクがあるの?
長時間デスクに向かって仕事をしていた後や、同じ姿勢でずっと家事をしていた後に首を勢いよく振ったり、首をグルグルっとまわすと「パキッ」と小気味よい音がすることがあります。
音がすると、なんとなく首周りのコリがほぐれたような気になってしまうのですが、この行為に筋肉のコリをほぐす効果はなく、それどころかとても危険な行為だということをご存知ですか?
今回は首が鳴るメカニズムや、身体に与える悪影響についてご紹介していきます。
「パキッ」という音の正体は?
指の関節や首の関節が鳴る、「パキッ」という音は、何の音なのでしょうか?
多くの人は、関節の骨と骨がこすれて鳴っているか、関節周りの筋肉や筋の緊張が解けたことで鳴っているのだと考えているのですが、
実はこの音、関節を包んでいる「滑液」の中の気泡が破裂するときに立てている音なのです。
私たちの関節の骨は骨同士が直接接触しているわけではなく、骨と骨の間は「滑液」と呼ばれる潤滑剤で満たされており、それは「関節包」という袋に包まれています。
長時間同じ姿勢をとっていた後に急激に関節を動かすと、関節包の中の一部分に急激に圧力変化が起き、急に圧力が下がった部分には滑液に含まれていた窒素や二酸化炭素が気化して小さな気泡を作ります。
この気泡は圧力の高い部分から一気に滑液が流入してきて、できたそばから衝撃で破裂します。
この破裂する小さな音が関節包の中で共鳴して、「パキッ」という大きな音が作られるのです。
「パキッ」という首は危険なこと!
音の正体からもわかる通り、関節を急に動かしたときになる「パキッ」という音はただの破裂音で、筋肉や筋、骨が立てている音ではありません。
当然ながら、この音が出たことで筋肉の緊張やコリがほぐれるということはなく、疲れが緩和するということもありません。
むしろ、デリケートな関節包内で気泡が壊れるという衝撃が加わることで、関節内部にダメージを与えてしまい、次のような悪影響をもたらすリスクがあるのです。
関節を支えている靱帯や筋肉に過剰な負荷を与える
関節の支えを弱くする
骨の変形を招く
こういった関節の音は、自然に出るぶんには頻度が少なく、身体への悪影響も心配する程ではないのですが、こういった音を「気持ちが良いから」と自発的に繰り返してしまうことには、やはり問題があります。
私達はとても快感に弱い生き物で、一度「パキッ」=「気持ちがいい」と勘違いをしてしまうと、好んで関節を鳴らし続けてしまうのですが、これは関節に大きなダメージを与える危険な行為です。
わざと関節を鳴らすのはやめて、頻繁に「パキッ」と音が鳴る人は、できるだけ関節に負荷をかけないようにゆっくりと動作をしたり、運動前には十分にウォーミングアップを心掛けると良いでしょう。
今は大丈夫でも、数年後、数十年後どのような影響があるかを考えてぜひクセを直してくださいね。