現代人に増えている腰痛。ストレスが原因の心因性腰痛症とは
腰痛は老若男女関係なく発症する可能性があります。ですが、全員が同じ原因、症状に悩まされるわけではありません。
最近ではストレスが原因となって痛みを引き起こす腰痛患者が増えてきています。
ここでは、精神的ストレスによって引き起こされる腰痛についてご紹介します。
身体的な原因がなくても腰痛になる?
腰痛というと、骨折や骨のズレなどで神経が圧迫されて痛みにつながるというのが一般的ですが、不安やストレスなどが原因となり腰痛を引き起こす病気があります。
このような心の不調が原因となる腰痛を「心因性腰痛症」と呼び、現代人に多くみられるようになってきたのです。
心因性腰痛症になりやすいタイプ
心因性腰痛は心理的・社会的因子を持つ人が発症しやすいと言われています。
聞きなれない言葉ですが「心理的因子」とは不安や精神的な要素のこと、「社会的因子」とは会社や家庭環境などから受けている圧力のことを意味しています。
■心理的因子の例
医療に対する考え方にこだわりや偏りがある人
・医者や医療に対して不信感がある
・痛みに対する恐怖や不安、思い込みが強い
・治療や痛みに対して強いこだわりを持っている
・痛みを大げさに表現してしまう
こだわりのある性格や、外的要因に対して影響を受けやすい人
・完璧主義者やこだわり性、頑固で融通が利かない
・短気でイライラしやすい
・ネガティブ思考で悩みを抱え込んでしまう
・神経質で些細なことでも気になってしまう
・他人の評価を気にしてしまう
・緊張しやすい
■社会的因子の例
職場環境が良くない
・上司や同僚と人間関係がうまくいかない
・収入や仕事に不満がある
家庭環境が良くない
・家での人間関係が良くない
・子育てや受験など、悩みを抱えている
・子供のころに虐待を受けた経験がある
また、うつ病になりかけの状態でも腰痛があらわれることも少なくありません。
その場合でも心因性腰痛症と診断されます。
心因性腰痛症のメカニズム
「ストレスで痛みを感じるはずがない」と思う方も多いでしょう。
しかし、心理的な要因で体に不調があらわれることは珍しくないのです。
脳には痛みを抑制するシステムがあり、小さな痛みはあまり感じず、大きな痛みは自覚する程度に抑えられています。
しかし、ストレスや不安のある状態が長く続くことでこのシステムが働かなくなります。
そのため必要以上の痛みを感じるようになるのです。
ストレスは、胃下垂や胃潰瘍など腰痛を伴う内臓の病気を引き起こすことがあります。
これに先ほどの抑制システムの不具合が重なることで強い痛みを感じるようになります。
また、上で紹介したように思い込みの強さも原因のひとつです。
人は頭の中で強く思い込むと、実際にその現象が体にもあらわれることもあります。
体に異常が見られなくても「腰が痛い気がする」といった思い込みで腰痛があらわれる可能性も否定できません。
心因性腰痛症の症状
ストレスなどの心理的・社会的因子による腰痛では、検査しても異常は出ず、治療の効果がないという特徴があります。
また腰だけでなく、頭・首・肩なども痛んだり、吐き気や不眠などさまざまな症状が同時にあらわれることがあります。
日によって痛む場所や痛み方、痛みの度合いが変化し、動作や姿勢と関係なく痛むのもこの特徴です。
この心因性腰痛症は、はっきりとした決め手がないので診断の際には問診が重要なカギとなります。
治療にも「心のケア」などが含まれてくるので、慢性的に腰痛の悩みを抱えていて痛み方にばらつきがあるという方は、自分だけで対処しようとせずに、医師に相談することが大切ですよ。